ジリジリと刺すような夏の太陽がすぎ去り、秋空の光が優しいせいか、空を見つめる時間が増える季節。そして、明日の天気を約束するように、空が赤く波打つ夕暮れ時などは、何かやり残したことがあるようで、何かをまだやらなければいけないような焦りを感じる秋の時間・・・・
誰にも心の中に、いくつもの人生があって、誰もが、自分の人生。これが自分にとってベストの生き方だったのか、ふと立ち止まる時がある。誰かにすがりたいようで、永遠の約束を探している自分に気づき、ありもしない保証を追うことにめまいを感じる時が・・・・
時は砂時計のようにスルスルと生活の中をすり抜けてゆく。その中で誰もが時間の流れを恨めしく眺める時がある。自分の年月が、夕暮れ時と重なるからなのかもしれない。
カウンセラーになって得たこと、そのような足場のなさや頼りない瞬間が誰の心の中にもあるのだと知ったこと・・・・・
誰もが頼りなさを心の片隅に抱えながら生きている。それでも、笑っていようとする人々がいる。核心があるから笑うのではない。悲しみを持ちながらも笑おうとするのが人間の素晴らしく美しい瞬間だから・・・
眠れない夜、さびしさにつぶれそうな夜。この空の下のどこかに、自分と同じように、悲しみを乗り越えて生きようとする人がいるのだということを・・・・
僕たちは決して孤独な存在じゃない。誰もが、そんな中で息をして、夜明けが来るのを待っている。今は存在しない過去の人々も、そんな孤独な人生を自分らしく、走りぬいたに違いない。それぞれの世界で・・・・
ならば、その孤独のフィールドを、僕たちは走り抜かねばなるまい。
孤独だと思ったら君の隣りにも、その隣りにも汗をかきながら、キラキラ走る仲間のランナーの笑顔が見えるかもしれない。
そう、このフィールドは歌の文句ではないが、ナンバー1にならなくていい、オンリー1の人生なのだから。自分の人生を走るランナー、そう、君が主人公だから。
君の力走に、見えない世界からのエールが聴こえる・・・・
悲しくて眠れない夜は、インディアンのように“星の人々”のエールを聴け。今はいない先輩達や幼くして燃えた命の応援歌が聴こえるかもしれない・・・・
見上げてごらん 夜の星を 小さな星を 小さな光りが ささやかな幸せを歌ってる
見上げてごらん 夜の星を 僕らのように 名もない星が ささやかな幸せを祈ってる
手をつなごう 僕と 追いかけよう 夢を 二人なら苦しくなんかないさ
見上げてごらん 夜の星を 小さな星の 小さな光りが ささやかな幸せを歌ってる
見上げてごらん 夜の星を 僕らのように 名もない星が ささやかな幸せを祈ってる
作:永 六輔 曲:中村 八大
では星の見えない日はどうすれば良いか?雲の上には、やっぱり星々が輝いていることを想像すれば良い・・・・なぜなら永遠に曇りの人生はないのだから・・・・・
でも、もしも、上を見ることに疲れた時には、視点を変えて下を見てみること。今日も一日が始まったこと、今日も一日が無事だったこと、ご飯を食べたこと、そして、真新しく何も書き込まれていない明日が多分訪れること。
新しい明日がマンネリで単調としかイメージできず日々の生活に埋没している人は、勉強すること、誰かにたずねてみること。自分ひとりで考えていたってしょうがない。行動がなければ何もはじまらない。なぜなら、知らないことは、この世にはたくさんあるし、出会いきれない人々が、この瞬間にも、あなたを待っている。
街ですれ違う人々でさえ、ただの景色ではないのだから。
幸せは、誰かに発見されることを、いつも待っている。だってあなたのそばに落ちている一日一日の中に、たくさんの幸せが落ちている。生きていることは奇跡の連続なのですから。
いつも遠くばかり行こうとするのか 見よ、良きものは かくも身近にあることを
ただ、幸福のつかみ方を 学べばよい 幸福は いつも 目の前にあるのだ
ゲーテ
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