大地につつまれて・・・・ | ひとりごと | 心理カウンセラー 衛藤信之 | 日本メンタルヘルス協会

えとうのひとりごと

■大地につつまれて・・・・
2003年5月6日




 「人から認められたい。」「人から愛されたい。」誰もがそう願って生きている。周囲の人から愛され、そして自分自身も心から誰かを愛することが出来れば、毎日が楽しく、ウキウキした気分で過ごせます・・・・・そう、恋愛している期間はすべてがバラ色です。自然も色こく、木々も風も陽の光もやさしく歌っているように見えます。昨日まで「大きな悩み」であった事も、「そんな事もあるわよね。」と思えてしまうことは、多くの人が経験していることです。

 でも、人を頭で愛そうと思ってもムリです。身体にさわって、呼吸を聞いて、私と同じ音がする。同じ温かさを持っている。自然も美しいけど、やっぱり人もとっても美しい。誰一人おなじ人がいない不思議。それでもこんなに人は似ている。だから、自分を好きでないと、他人なんか愛せないのは当たり前のはなし。自分と他人はどこかがとても似ているから。

 子供の時に親から愛されなかったから、私は子供を好きになれないとある女性は言いました。でも、その彼女を子供の愛に目覚めさせたのは、カウンセラーではありませんでした。

 ある日の同窓会をかねたキャンプ。「先輩、わたしロッジの交渉に行きますから子供お願い」と子供嫌いの先輩に元後輩の母は子供をゆだねました。
 眠っている赤ちゃんと二人。彼女は不思議でした。どうしてこの子はわたしに抱かれてスヤスヤ寝てるの?わたしは子供が嫌いなのに。わたしを信用しているとでもいうの。わたしが置いていったらどうするの?わたしの指なんか握ってさ???そうか、この子はわたしを母親とカン違いしているから安心して寝てるんだ。カン違いしているだけね。

 ところが、子供が突然に目を開けて、彼女は子供と目が合いました。しばし見つめた赤ちゃんは彼女に微笑んで、再び眠りの世界にもどって行きました・・・・

 赤ちゃんは自分を母親ではないと知っても私の胸の中で眠っている。それもすべてをゆだねて、このわたしの腕の中で・・・・これが信頼されるということ?

 その時、彼女の中で何かが変わった・・・・

 私を信頼して、自然の中でスヤスヤと私の胸に抱かれている。この子を置いてなんかいけない。「絶対に、この子を守る」と彼女は思いました。
 このキャンプでは起こりえないことだけど、きっとライオンが出てきても彼女は赤ちゃんのために戦ったでしょう。自分の命に代えても・・・

 いたいけない顔で、子供達のひとみに見つめられると、この子達を守らなければならないと思うのは自然の摂理。とくに眠っている子供の顔には、そんな魔法のパワーがあり、魅力がある。僕も子供らのベッドルームで、それをいやというほどかけられた人間だ。いまだにその魔法がとれない。
 だから、その気持ちがよくわかった。

 信頼は信頼されて生まれるものなのです。また逆に、他人を信頼しない人が人から信頼されるわけがありません。
 「私は誰からも愛されていない」と嘆く人…それでは、あなた自身は本当に他人を信頼し、愛していますか?家族、職場の人、恋人、夫婦…それぞれの関係の中で、どれほど自分は、心からゆだね、人を信頼しているのでしょう。今一度考えてみる必要があるではないでしょうか。

 心理学では「自分を愛するほどしか他人を愛せない」と言われています。自分自身のイヤな部分を認められない人は、他人のイヤな部分も認められないのです。他人の足らない部分を愛せないでいて、わたしの足らない部分はおおめに見て、愛してよ。これは身勝手な考えです。

 自分のイヤな部分を認め、受け入れていれば、他人のイヤな部分が見えたとしても、「自分にも似たところがあるのよ。」と笑っていえます。なぜなら、自分の嫌なところを知っている人は、それを正すことのむつかしさ、大変な苦労を知っているからです。だから、そういう人は他人を許し、笑顔で接する事が出来るのです。むやみに人を責めません。

 そういう人が、やがては人から認められ愛される人なのです。
 「人から愛されたい」と思うならば、まず「自分を愛する」ことから始めることが必要です。そして、自分から「人を信頼する」こと。それが周囲にこころから信頼される方法なのでしょう。

 僕は大地を、地球をこんなに信頼している。だから、自然はこんなにも心に休息を与えるのだと思う。連休の一日にて・・・・

 インディアンの人が言いました。砂漠で迷って毒ヘビに出会ったら、最悪と思ってはいけない。ヘビが生きてゆける大地なのだと生きることを考えろと・・・・・・






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